TANE KOYOMI
寒露かんろ
露が、冷たく感じられるころ
寒露って、いつ?
どんなころ?
「寒い露」と書く。草や木におりる露が、冷たく感じられるようになるころ。
日中は日差しで気温が上がるのに、夜は放射冷却でぐっと下がる。
一日の中の温度差が、大きくなる。
晴れる日が多くなる。山では紅葉が始まり、秋の草花も見ごろになる。
「一雨一度」── 雨が降るごとに1℃下がる、と秋に言う。※1
露は、いつ、どこで見つかる?

晴れて、風の弱い夜の、次の朝。日の出のころ。
雲は、布団のようなもの。
雲が無い夜は、地面の熱が空へ逃げて、
草の葉がよく冷える。
風が弱いと、冷えた空気がそこにとどまる。
探す場所は、草の葉、車の窓、低くなった土地。※42
カリフォルニアでは?
カリフォルニアは、まだ昼間 猛烈に暑い。寒露と言われても、信じられない。
でも夜はひんやりして、早朝には、ひっそりと露が落ちていることもある。
実感はなくても、季節は足元から近づいている。
TANE
寒露がはじまる瞬間は、世界で同じだ。
でも、その瞬間、東京は午後で、カリフォルニアはまだ前の日の夜。
だから、カレンダーの日付が1日ずれる。
日本(東京)
10月8日
日の出 05:41 日の入り 17:16
昼 11時間35分
カリフォルニア
10月7日
日の出 06:49 日の入り 18:28
昼 11時間39分
昼の長さの差は、4分。
時刻はその土地の時計。国立天文台の日の出入りと突き合わせて確かめた(ずれ1分以内)。年による差は数分。
昼の長さは、ほとんど同じ。緯度が2度しか違わないからだ。
暦がずれる理由は、太陽ではない。土地のほうだ。
同じ長さの昼を、ちがう気温と、ちがう土で受けている。
TODAY
今日できること
Instagram の6本と、同じ番号です。押すと、その話へ行きます。
EAT & DRINK
食べる・飲む
このころの旬と、一杯のお茶のこと。

そば茶って、意外と知らない人もいる。
あの香ばしさ。一度味わったら、たまに飲みたくなるお茶になりました。
アイスでもホットでもいける。この時期、私は自然と手が伸びます。
TANE
このころ、何が旬?

栗。きのこ(松茸・椎茸)。青梗菜。
里芋、さつまいも、れんこん。
秋刀魚、鮭、秋鯖。脂がのるころと言われてきた。名前にも「秋」がつく。
柿、りんご。※1
さつまいもは、蒸して食べる。大好きなのは、石焼き芋。栗は、モンブランに。
TANE
カリフォルニアで、日本の旬や なじみのものを探すなら → 手に入りやすい店と、その住所
寒露の日に、食べるものは決まっている?
決まっていない。
節分には豆。
冬至にはかぼちゃ。
七草にはおかゆ。
そういう「この日の食べもの」を、寒露について6つの資料で探した。
どこにも書いていなかった。
旬はたくさんある。決まりは無い。だから、自分で決められる。※2
なぜ、そば茶?
このころ、そばの実が熟していく。
茨城の常陸秋そばは、8月の中ごろに種をまき、9月に白い花が咲き、10月の下旬に刈りとる。
「寒露にそば茶を飲む」という習わしは、探しても見つからなかった。これは、TANEの提案。※3
そば茶は、どう淹れる?
急須やティーポットなら、大さじ1ほど。沸いたお湯を注いで、2〜5分。

たくさん作るなら、やかんやケトルで。
沸いてから3分ほど煮出す。
TANEはセラミックのケトルで3分ほど。
アイスにするときは粗熱を取ってから
ガラス瓶に入れ替えて冷蔵庫へ。
淹れたあとの実は、土に返している。(コンポスト)
そばの実から作るなら、フライパンで弱めの中火。混ぜながら10分ほど炒る。
韃靼(だったん)そばは、ふつうのそばとは別の種で、苦みがある。
そばは、アレルギー表示が義務の品目。そばのアレルギーがある人は、ほうじ茶や麦茶で。※4
袋のどこを見る?
TANEが見ているのは、8つ。
- そばだけでできているか ── 原材料名
- どこで育ったか ── 原材料名の( )の中
- どう育てたか ── 有機JASマーク/「栽培期間中農薬不使用」/アメリカなら USDA Organic
- 香りなど、ほかの物が入っていないか ── 原材料名
- 実の形は残っているか ── 実のまま/ティーバッグ
- どう焙煎したか ── 浅煎り・中煎りなど。書いていないことも多い
- どう包まれているか ── ティーバッグの袋の素材も
- 誰が作っているか ── 農家や会社の名前が見えるか
「無農薬」と書いた袋は、なぜ少ない?
日本では、農産物に「無農薬」「減農薬」と表示してはいけない。
「無農薬」と書くと、残っている農薬が一切無いと受け取られ、誤解を招いてきたと言われている。代わりに「栽培期間中不使用」と書く。
「有機」「オーガニック」は、有機JASマークがあるものだけが名乗れる。
だから棚の前では、この2つの言葉を探せばいい。※5
お茶にも、秋の摘みとりがある?
干し柿の渋は、どこへ行く?
どこへも行かない。そこにある。
干すと、渋が「抜ける」と言う。
でも実際は、水に溶けない形に変わって、舌が感じなくなっただけだ。
皮をむくと、実の表面に膜ができて、空気を通さなくなる。
その中で、渋が水に溶けない形に変わっていく。
皮をむくのは、乾かすためだけではない。中の息をとめるため。

CARE
暮らしの手入れ
晴れた日に、一か所から。

私は、晴れた日に布団を日に当てるのが好きだ。
取り込むと太陽の匂いがして、気持ちがいい。
カリフォルニアでは、住む地域によっては 決まりでベランダの外干しが禁止されている。
ふだんは乾燥機を使う家庭が多い。だから、たまに外に干せる日がうれしい。
TANE
いつ干す?
晴れが何日か続いて、空気が乾いた日の日中。
呉服店は「2〜3日晴天が続いた後」「午前10時頃から午後3時頃」と言う。
公的な出どころは見つからなかった。店によって言い方も少し違う。※10
何を、どう干す?
布団や綿のものは、日に当てると気持ちがいい。
絹・ウールは、陰に干す。日の光で黄色く変わることがある。
私は日向に絹を干し、黄色に変色したし、ウールのセーターは子供用ほどに縮ませたことがある。
※ウールを乾燥機に入れたら、大人用男性用のセーターも7歳児くらいのサイズになるのでご注意を。

本は、日に当てない。ほこりを払う。ほこりは虫を呼び、湿気を吸う。※11
縮んだウールは、戻せる?
ウールの毛の表面は、うろこのようになっている。
熱と、水と、もまれる動きで、うろこが開いて、となりの毛と引っかかり合う。そのまま固まる。これを「フェルト化」と言う。
羊は、雨にぬれても縮まない。うろこの向きがそろっていて、毛の脂が水をはじくからだ。※46
私の戻し方は、こう。
ぬるま湯2リットルに、クエン酸を大さじ1ほど溶かす。水が多ければ、増やす。
縮んだセーターを、30分−60分つける。
つけたまま、その状態で、セーターを伸ばす。
形が整うように、やさしく引っぱる。やりすぎと感じるくらいでも、いい。
そのあと、ふつうの水で洗う。
タオルで水気を取って、陰に干す。
でも、ここまで縮むと、元の大きさに戻すのは厳しい。
TANE
※ クエン酸について知りたい人は → クエン酸のこと(何からできていて、何に気をつけるか)
よく紹介されているのは、髪のトリートメントを溶かす方法だ。毛をすべりやすくして、引っかかりをほどく、という考え方。TANEは、そこをクエン酸に替えている。※47
クエン酸でどこまで戻るかを確かめた資料は、探したが見つからなかった。
しかし、機能する、実験済みだ。しかし、極端に小さくなってしまったものは限界がある。
だから、先にできること。
洗う前に、服の内側の札を見る。乾燥機にかけてよいかは、そこに印で書いてある。※48
ウールは、平らに置いて、陰で干す。
服を食べる虫と、どう付き合う?

ウール、絹、羽毛。イガという虫の幼虫が好む。※12
薬の前に、できることがある。
着たものは、洗ってからしまう。
ときどき出して日に当て、パンパンとはたく。
ふたがきっちり閉まる箱に入れる。
マフラーや帽子、ぬいぐるみのような小さいものは、袋に入れて冷凍庫に数日。
虫がついたかもしれないとき、カリフォルニア大学が勧めている方法だ。※13
昔からあったもの。
樟脳(しょうのう)は、クスノキの木片を蒸して取る。※38
杉の箱は、小さい幼虫には効くが、大きい幼虫には効かない。香りは数年で薄れる。
カリフォルニア大学は、箱がきっちり閉まることのほうが大事だと言う。
ハーブの油は、効きめがほとんど分かっていない。※13
でも、シトロネラールを多く含むレモンユーカリなどには、蚊よけの効果がある。くわしくは →
蚊を遠ざける作用は、研究されている。
レモンユーカリの精油には、シトロネラールという香りの成分が多い。
でも、蚊に効くことと、服を守ることは、別の話。
服を食べるのは、ガやカツオブシムシの「幼虫」。
飛んでくる蚊を遠ざけることと、服の中の幼虫に食べさせないことは、ちがう働きだ。
アメリカの疾病対策センター(CDC)が蚊よけに挙げているのは、製品として登録された「レモンユーカリ油(PMD)」入りのもの。
アロマ用の精油そのものは、同じ確かめを受けていないとして、勧めの中に入れていない。※49
植物の香りで、服の虫を遠ざけようとした研究はある。
ただ、レモンユーカリの精油を、たんすに置いて確かめたものは、見つからなかった。
カリフォルニア大学も、ハーブの油の効きめは、分かっていることが少ないと言う。※13
だから、TANEはこう使う。
まず、洗う、乾かす、閉じる、ときどき見る。
香りは、その手入れに添える楽しみとして。
原液を、肌や服に直接つけない。
ふだんは、何も入れていない。
冬のウールや訪問着のように、たまにしか着ないものをしまうときは、唐辛子を入れることがある。
天然の樟脳は、私も使っていた。難点は、匂いが強いこと。
TANE
唐辛子は、効くのか。
米びつの唐辛子は、国の研究所が調べている。
米につく虫は、唐辛子を避けた。でも強くはなく、1か月で半分以下、3か月でゼロになった。
効くのは辛さではなく、香り。香りは飛んでなくなる。
服の虫で試した記録は、見つからなかった。※39
店の防虫剤は、おもに4種類。
ピレスロイド系、パラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのう。
パラジクロルベンゼンは、国が「部屋の空気の中で、この濃さまで」という目安を決めている13の物質の一つだ。
ナフタリンとパラジクロルベンゼンは、世界保健機関のがん研究機関が「人に対して発がん性があるかもしれない」に分けている。
動物の実験では十分な証拠があり、人では証拠が足りない、という段階だ。※40
どれも、決められた量と使い方で売られているもの。
そのうえで、私は、ほかの道から先に試している。
天然のものでも、子どもの手の届かないところに。

日本とカリフォルニアで、干し方が逆?
逆だ。日本は「陰干し」と言う。
カリフォルニア大学は「ときどき日に干して、縫い目や折り目まで、ブラシをかける」と言う。
TANEはウール、絹は影干し、しかしコットン、リネンは太陽に当てる。
何を守りたいか。色か、虫か。それで、干し方が変わる。※13
カリフォルニアに、「干す権利」の法律がある?
ある。2016年から。
自分だけが使う裏庭の物干しを、住宅の管理組合が禁じる決まりは、無効になった。
ただし、ベランダや手すりは対象外だ。※14
庭があって人目につかなければ、庭に。
人目につくなら、ベランダで、すのこなどで外から見えない形にするか、家の中か。それが、カリフォルニアのいまの選択肢。
TANE
「太陽の匂い」は、何の匂い?
2020年、コペンハーゲン大学の研究がある。
洗いたてのタオルを、外の日なた、日陰、室内で干して比べた。
いい匂いの成分ができたのは、日なたで干したときだけだった。
濡れた布の表面で、日の光と空気が反応してできるらしい。
これは洗濯物の実験で、布団で確かめたものではない。
「あれはダニの死骸の匂い」という話も、よく聞く。元の発表を探したが、見つからなかった。※15

どこから始める?
たんすの一段。本棚の一段。そこからで、いい。
BODY & MIND
からだと心
夜が長くなるころ、内側にも少し目を向ける。

自分の内面を感じる時間は、とっているようで、とっていない。
少し時間が空けば、スクリーンを開いてしまう。
自分を見る時間すら、面倒に感じてしまう。
でも、自分のメンテナンス。内側をきちんと見て、向き合い、感じてあげる季節。
そう捉えると、秋も素敵だなと思う。
TANE
秋は、どう過ごすと言われてきた?
2000年ほど前の中国の本に、秋の過ごし方がある。
早く寝て、早く起きる。
心を安らかにする。
氣を内に収める。
心を外へ向けすぎない。
それを「収める」ための養い方、と呼んだ。
これは昔の医学の本にある読み方だ。
そのとおりにすると体がどうなる、という約束の話ではない。※16
「内側を見る」は、その本に書いてある?
書いていない。「内観」という言葉は、そこには無い。
あるのは「心を外へ向けすぎない」まで。
「夜が長くなるころ、自分の内側にも少し目を向ける」は、TANEの読み方だ。
秋と「肺」は、どうつながる?
陰陽五行という古い考え方では、秋は「金」。方位は西、色は白、体では肺をあてる。
季節と、方位と、色と、体を、一つの表でつないでいる。
乾きや季節の変わり目に、呼吸や肌へ目を向ける考え方として、受け継がれてきた。
いまの医学で言う肺の働きと、つながりを示すものではない。
木=春・東 / 火=夏・南 / 土=長夏・中央 / 金=秋・西 / 水=冬・北※17
秋の乾きには、何を?
「秋に収め、冬に蔵す」って?

中国の歴史の本『史記』にある言葉。
春に生まれ、夏に伸び、秋に収め、冬に蔵す。
これが天の道の大きな筋である、と。
「灯火親しむべし」という言葉もある。
涼しく夜の長い秋は、灯りの下での読書に合っている、
という意味だ。※19
この秋、私が仕込むのは、味噌。糀、甘酒、塩糀。それから、干すもの。
TANE
自分へ向ける、6つの問い
答えは、書かなくていい。
- この一年で、実ったものは何だろう
- 冬へ向けて、何を蓄えたい?
- あなたの土地の、いまの花は何だろう
- 冬の前に、手入れしたいものは何だろう
- あなたは季節を、何で感じている?
- 最近、外へ向かいすぎていないかな。何を少し減らしたい?
夜に10分、何をする?
心を整える、瞑想する、本を読む。身体を伸ばす、身体の声を聴く。
そして考える。収める季節は、仕込む季節。さあ、この季節に……明日は何を仕込もうか。
10月10日は、どんな日?
秋は、氣を内に収める季節、とされてきた。
ふだんは、自分の内を見る暇もない人でも
この時期に、意識的に内をのぞいてみよう。
寒露のあいだに、毎年、10が2つ並ぶ日が来る。
10月10日。
古代ギリシャに、数で世界を読もうとした人たちがいた。ピタゴラスの弟子たちだ。
彼らは、10を「完全な数」と考えた。※50
点を 1つ、2つ、3つ、4つ と三角に並べると、ぜんぶで10になる。
ボウリングのピンと、同じ並びだ。
その形を、大事な印にしていた。※51
日本にも、10が重なる日の行事がある。
旧暦の10月10日の夜、「十日夜(とおかんや)」。
東日本で、稲刈りを終え、田の神が山へ帰るのを送る日だ。※52
そんな日に
- 目に入る場所を、1か所だけ整える
- 大切にしたいことを3つ書いてみる
- 夜、今日の感謝を3つ、言葉にする
10日を過ぎていても、気づいた日が、その日。
暮らしに、自分の「内」を見つめる日を。
SKY & CALENDAR
空と暦
暦は、空の読み方だった。

夕日が沈む場所は、動く?
二十四節気は、何で決まる?
太陽が、空のどこにいるか。
太陽の通り道の一周360度を、15度ずつ、24に分けた。寒露は195度。※20
星座と、どう関係する?
西洋の12のサインも、同じ360度を使っている。こちらは30度ずつ、12に分けた。
だから、12のサインの境目は、二十四節気の半分(中気)と、ぴったり同じ場所にある。春分=おひつじ座のはじまり。夏至=かに座。秋分=てんびん座。冬至=やぎ座。
てんびん座は秋分にはじまり、霜降で終わる。寒露は、そのまん中だ。※21
「てんびん座」は、空の星座の場所?
ちがう。春分の点から数えた、角度の名前だ。
地球の首ふりで、春分の点は72年に1度ずつ動いている。
その結果、サインと星座は、いま、おおよそ1つずれている。※22
西洋占星術では、てんびん座をどう読んできた?
風のサイン。支配する星は金星。意味は「機転」。そう読まれてきた。
TANEはこの視点も先人が育んだ知識として参考にします。
でもここでは人が同じ空をどう読んできたかを、並べています。※22
「節」と「中気」って?
二十四節気には2種類あって、かわりばんこに並んでいる。
寒露は「九月節」。次の霜降は「九月中」。
西洋の星座の境目は、12の中気。東洋の暦の月の境目は、12の節。
同じ24の目盛りを、互い違いに使っている。
寒露は、東洋では月のはじまり。西洋では星座のまん中。
俳句の季語も、節で季節を分けている。※23
なぜ「寒露」と書く?
暦は、何のためにあった?
農作業の目安だった。
韓国の百科事典には、こう書いてある。
冷たい露が結ぶ時期なので、気温がさらに下がる前に収穫を終えなければならず、村は脱穀のまっさい中である、と。
「露が冷たい」は、感じ方の話ではなく、期限の話だった。※25
「天高く馬肥ゆる秋」は、ほめ言葉?
昔の人は、15日をさらに3つに分けた?
分けた。七十二候という。寒露の3つは、こうだ。
雁が来る
菊の花が開く
虫が戸で鳴く
雁が客として来る
雀が大水に入って蛤になる
菊に黄色い花がある
名前がぜんぶ、目に見えるものでできている。気温や日付ではなく、雁、菊、虫。※27
雀が、蛤になる?
中国の古い暦では、寒露のまん中に、その名前がついていた。
雀入大水為蛤
雀が大水に入って、蛤になる
日本の暦には、この名前が無い。
江戸時代、暦の学者たちが、日本の気候風土に合うように書き換えたからだ。
代わりに入ったのは「菊の花が開く」だった。
暦を、自分の土地に合わせて読み直す。それは江戸時代に、一度やられている。※27
暦は、いつ日本に来た?
暦は、中国から朝鮮半島を通って日本に伝わった。
飛鳥時代の604年に、日本で最初の暦が作られたと伝えられている。
そのあと日本は、中国の暦を、862年から1685年まで使っていた。
約823年のあいだだ。1685年、渋川春海が、初めて日本人の手で暦を編んだ。※28
十五夜と十三夜は、どうちがう?
十五夜の月を眺める風習は、中国から伝わった。十三夜の月を愛でる風習は、日本で生まれた。
十三夜の別の名は、栗名月、豆名月。このころに採れる栗や枝豆を供える。919年に寛平法皇が月見の宴を開いて、十三夜の月を称賛したことが、由来のひとつとされる。
暦を借りてきて、自分の土地で一つ足した。

二十四節気は、いつ、どこで生まれた?
中国の戦国時代のころ(紀元前300年代)に発明された。
2016年、ユネスコの無形文化遺産に記載された。※30
「気学」は、古いもの?
九星は古い。古代の中国から伝わった。
でも、それを干支や五行と組み合わせて「気学」にまとめたのは、明治42年の日本だ。
七十二候、十三夜、気学。日本は千年、借りたものを、自分の土地でまとめ直している。※31
ACROSS THE WORLD
ほかの国、ほかの読み方
同じ季節を、それぞれの土地で。
菊って、なんだか地味なイメージを持たれがち。でも、まん丸い菊があったり、色もとても豊富。
お部屋に一輪挿すだけで、雰囲気が変わる。季節を感じる一輪に。
TANE

9月9日は、なぜ「重陽」?
旧暦の9月9日。日本では「菊の節句」とも呼ぶ。
陰陽の考え方では、奇数は陽の数。その中でいちばん大きい9が重なる日だから、「重陽」。
寒露の前後に来ることが多い。※32
同じ菊を、三つの国はどう使った?
中国では、このころ何をする?
韓国では?
寒露の前後に、菊の花のチヂミ(菊花煎)を焼き、菊の酒を仕込む。
集まりや遊びが盛んになる。現代の若者はほとんどこのことを知らない。
このころ、頭に茱萸(しゅゆ)を挿したり、高い所に登って故郷を眺めたりする話が、漢詩によく出てくる。高い山に登って茱萸の実を頭に挿すと、悪いものを追い払えると信じられていた。※34
西洋の秋は?
秋は、とくに詩の中で、もの思いと結びつけられてきた。
キーツの「秋に寄せて」(1819年9月)は、もの思いと、実りの豊かさの両方を書いている。
収穫祭、ケルトの秋の祭り(Samhain)、死者の日。みんな秋にある。※35
TANEは、こう読んだ
寒露を調べて、いちばん心に残ったのは、占星術と似ているところ。
東洋では、それが暦という形で文化になってきた。
ほかの国へ行く手段もなかったころ、別々の文明にいながら、人は空を見て、季節を見て、同じようなルーティンを見出していた。
とても素敵だと思う。
人間が自然や空と共に生きてきて、それを感じとる力。受け継がれてきた叡智に、感動する。
それを知ると、季節の移り変わりを意識するようになる。こういう季節には、先人はこんな知恵や知識を活かしてきたのだと、勉強になる。では、いまの暮らしでどう活かせるだろう。
そう考えると楽しい。
カリフォルニアの秋は、日本のようではない。
気温もカリフォルニアのほうが高いし、冬も、日本と比べものにならないくらい暖かいと思う。
でも、日本を離れていたからこそ、四季を感じ、その四季ごとに何かを感じてきた先人の生活の知恵と、自然とつながる術を、子どもたちに残したい。
伝えていきたい。
いまは忙しくて、季節を感じる暇もない。暦を考えることも、空を見上げることも少ない。
スクリーンに目を向けるだけでなく、
空を見る。
風を感じる。
食材を見る。
秋を知る。
木を見る。
息を深く吸う。
自然に沿って、自分の内側を見る。
そんな日々の中のちょっとした感じ方、視点を変えると、
何か違うものが見えてくるかもしれない。
TANE
NOT YET
まだ分からないこと
探したけれど、見つからなかったもの。そのまま置いておきます。
- 日本の「寒露にこれを食べる」という決まった食べもの。
- 日本の寒露だけの農作業。韓国の百科事典には「脱穀のまっさい中」とあるが、日本の古い農書は、まだ開けていない。
- 日本で、重陽に山に登る習わしがあったかどうか。
- 日本の七十二候が書き換えられた、正確な年。「江戸時代」までしか分からなかった。
- 秋のお茶の、摘む時期の境目の日付。
- 九星気学の月が、節の日で切り替わるのかどうか。
出どころを開く(※1〜※52)
- ※1日本気象協会 tenki.jp/All About 暮らしの歳時記
- ※2寒露を説明する5件と、行事食の一覧(Wikipedia 日本語版「行事食」)
- ※3農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」常陸秋そば
- ※4日穀製粉・山形物産 ほか(メーカーの案内)/DELISH KITCHEN/消費者庁「食物アレルギー表示」/信州大学農学部「ソバ図鑑」
- ※5農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A」/「有機食品の検査認証制度」
- ※6南九州市/農林水産省「茶をめぐる情勢」
- ※7農林水産省 こどもそうだん/市田柿ブランド推進協議会/日本植物生理学会 植物Q&A
- ※8カリフォルニア大学 ANR South Coast 研究・普及センターの催しの告知(収穫期の統計ではない)
- ※9コトバンク「虫干し」(デジタル大辞泉・日本大百科全書 ほか)
- ※10鈴乃屋「虫干し」/京都銭京(呉服の小売店)
- ※11ニッセンケン品質評価センター/Library of Congress「Storing Your Books」
- ※12東京文化財研究所「イガ」/全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「防虫剤」/UC IPM「Clothes Moths」
- ※13UC IPM(カリフォルニア大学)「Clothes Moths」
- ※14カリフォルニア州 民法 4750.10
- ※15Pugliese ほか, Environmental Chemistry 17(5), 2020
- ※16『黄帝内経 素問』四気調神大論
- ※17Wikipedia 日本語版「五行思想」
- ※18China Daily/Beijing Tourism
- ※19『史記』太史公自序/コトバンク「灯火親しむべし」
- ※20国立天文台 暦要項
- ※21Wikipedia 日本語版「黄道十二宮」/計算
- ※22Wikipedia 日本語版「黄道十二宮」
- ※23Wikipedia 日本語版「二十四節気」
- ※24『暦便覧』(Wikipedia 日本語版「寒露」の引用)
- ※25日本伝統野菜推進協会/韓国民族文化大百科事典
- ※26暦生活「天高く馬肥ゆる秋」
- ※27Wikipedia 日本語版「七十二候」
- ※28国立国会図書館「日本の暦」/Wikipedia 日本語版「貞享暦」
- ※29仙台市天文台「後(のち)の月」
- ※30Wikipedia 日本語版「二十四節気」/UNESCO
- ※31Wikipedia 日本語版「九星」「九星気学」
- ※32Wikipedia 日本語版「重陽」
- ※33China Daily/韓国民族文化大百科事典/Wikipedia 日本語版「重陽」
- ※34韓国民族文化大百科事典(韓国学中央研究院)
- ※35Wikipedia 英語版「Autumn」
- ※36サライ.jp「古くなったお茶をほうじ茶に」(管理栄養士の記事。公的な資料ではない)
- ※37農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」干し柿(産地では、干す前に硫黄でいぶす工程がある)
- ※38コトバンク「樟脳」(デジタル大辞泉・日本大百科全書)
- ※39農研機構 食品総合研究所「乾燥唐辛子にコクゾウムシへの防虫効果はあるのか」(成果発表の1枚。輪切り1g:開けたて88.7%・1か月後39.6%・3か月後0%)
- ※40厚生労働省の室内濃度指針値(大阪府「化学物質濃度指針値」:パラジクロロベンゼン 240μg/m³)/IARC Monographs Vol.73(1999・パラジクロルベンゼン)・Vol.82(2002・ナフタリン)とも Group 2B
- ※41HugKum「もってのほか」(監修つきの記事。公的な資料ではない)
- ※42福岡管区気象台「はれるんマガジン」第17号(霜の説明。露も同じ仕組み、は TANE の読み)
- ※43国立天文台 暦Wiki「太陽の南中高度と日出没の方位」(「春分・秋分のころ…ほぼ真東から昇り真西に沈みます」「冬至のころ…真西よりも南寄りに沈みます」)/7度は TANE の計算(北緯35度前後)
- ※44松木武彦(国立歴史民俗博物館)「考古学から見た戦いの始まり」島根県の講座資料(佐原真の説と、それへの反論)
- ※45長寿科学振興財団「秋の養生」杉山卓也(薬剤師・漢方アドバイザー。もとの古典の名前は書かれていない)
- ※46Harvard University「Science in the News」Katherine Wu “Why don't sheep shrink in the rain?”(2018)
- ※47週刊女性PRIME(カジタク 家事代行チーム・大島直子さんの話。公的な資料ではない。トリートメントは「アモジメチコン」か「ジメチコン」入りのもの、とある)
- ※48消費者庁「新しい洗濯表示」
- ※49CDC「Updated Information regarding Mosquito Repellents」(2008年。「“Pure” oil of lemon eucalyptus (e.g. essential oil) … is not covered by this CDC recommendation」)
- ※50アリストテレス『形而上学』第1巻 986a(Hugh Tredennick 訳。「the decad is considered to be a complete thing and to comprise the whole essential nature of the numerical system」)
- ※51Wikipedia 英語版「Tetractys」(10個の点を4段の三角に並べた形。ピタゴラス派の印)
- ※52コトバンク「十日夜」(デジタル大辞泉・日本大百科全書 ほか。西日本の「亥の子」にあたる)
調べるときに開いた資料(68件)
- 国立天文台 暦要項 2026「二十四節気および雑節」
- 日本気象協会 tenki.jp「二十四節気『寒露』はどんな季節?」
- All About 暮らしの歳時記「二十四節気『寒露』とは?」
- China Daily「24 Solar Terms: 8 things you may not know about Cold Dew」
- Beijing Tourism「Learning Chinese | Cold Dew (寒露)」
- Wikipedia 日本語版「寒露」(『暦便覧』の引用・七十二候・黄経の定義)
- 『韓国民族文化大百科事典』(韓国学中央研究院)「한로」
- Wikipedia 日本語版「黄道十二宮」(黄経30°ずつ12等分・二十四節気との対応表)
- 一般社団法人 日本伝統野菜推進協会「農事暦って何?」(署名なし)
- University of California ANR, South Coast Research and Extension Center(Irvine, CA)Events
- Wikipedia 日本語版「七十二候」(日本と中国の候の対比・渋川春海・略本暦)
- Wikipedia 日本語版「五行思想」(五行配当表・『書経』洪範篇・漢代の陰陽五行説)
- 仙台市天文台「2026/10/23 後(のち)の月」(十三夜・栗名月・日本で生まれた風習)
- 暦生活「天高く馬肥ゆる秋」(もとは匈奴への警告だった)
- Wikipedia 日本語版「二十四節気」(節と中気・十二節(節切り)・季語・成立の時代)
- Wikipedia 日本語版「重陽」(菊の節句・菊の酒・菊に綿をおいて露を移す)
- UNESCO Intangible Cultural Heritage「The Twenty-Four Solar Terms, knowledge in China of time and practices developed through observation of the sun's annual motion」(2016年・代表一覧表)
- Wikipedia 日本語版「九星」(洛書の魔方陣・古代中国から伝わる)
- Wikipedia 日本語版「九星気学」(園田真次郎・明治42年)
- Wikipedia 日本語版「貞享暦」(初めて日本人の手で編纂・1685年・宣明暦は約823年)
- 農林水産省「消費者の部屋」こどもそうだん「甘柿と渋柿(しぶがき)の違いについて教えてください。」
- 市田柿ブランド推進協議会「干し柿と脱渋の仕組み」
- 日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A「柿の渋抜きについて」(回答:勝見允行)
- Wikipedia 日本語版「行事食」(節分・冬至・人日の食べもの。寒露は挙がっていない)
- 国立国会図書館「日本の暦」暦の渡来と普及
- コトバンク「虫干し」(デジタル大辞泉・日本大百科全書・ブリタニカ・世界大百科事典・マイペディア)
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」常陸秋そば
- 南九州市「二番茶・三番茶・四番茶・秋冬番茶」
- 農林水産省 関東農政局「茶をめぐる情勢」令和7年10月
- 『黄帝内経 素問』四気調神大論(古诗文网)
- 『史記』巻130 太史公自序(維基文庫)
- Wikipedia 英語版「Autumn」
- コトバンク「灯火親しむべし」
- 農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A」(平成20年6月)Q5・Q6・Q50
- 農林水産省「有機食品の検査認証制度」
- 消費者庁「食物アレルギー表示」資料(特定原材料の表に「そば」)
- 日穀製粉ショップ「そば茶の美味しい淹れ方」(450mlに8g・2〜3分/煮出し 3Lに18g・約3分)
- 山形物産 そば茶の商品ページ(大匙一杯・熱湯・2分ほど)
- sobacha.com(沸騰したお湯・3〜5分。ページの文字化けが多く確かさは低い)
- DELISH KITCHEN「そば茶」(そばの実100g・弱めの中火で10分ほど。料理サイト)
- 信州大学農学部 植物育種学研究室「ソバ図鑑」(普通ソバ *Fagopyrum esculentum*/ダッタンソバ *F. tataricum*・苦味)
- カリフォルニア州 民法 4750.10(AB 1448・2015年10月8日成立・2016年1月1日から)
- Pugliese S. ほか「Chemical analysis and origin of the smell of line-dried laundry」*Environmental Chemistry* 17(5), 2020(コペンハーゲン大学)
- ニッセンケン品質評価センター「色の変化~黄変~」
- Library of Congress「Storing Your Books」
- 東京文化財研究所「イガ」
- 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「防虫剤」
- UC IPM(カリフォルニア大学)「Clothes Moths」
- 鈴乃屋「虫干し」(呉服の小売店)
- 京都銭京 Q7(呉服の小売店)
- 加藤・田淵(2016)『農業および園芸』91巻10号(農林水産省 AgriKnowledge)
- コトバンク「樟脳」(デジタル大辞泉・日本大百科全書)
- 農研機構 食品総合研究所「乾燥唐辛子にコクゾウムシへの防虫効果はあるのか」(宮ノ下明大・成果発表)
- 大阪府「化学物質濃度指針値」(厚生労働省の室内濃度指針値の一覧)
- IARC Monographs Vol.73(para-Dichlorobenzene, 1999)/Vol.82(Naphthalene, 2002)
- サライ.jp「古くなったお茶をほうじ茶に」(矢崎海里・管理栄養士。公的な資料ではない)
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」干し柿
- 松木武彦(国立歴史民俗博物館)「考古学から見た戦いの始まり」島根県の講座資料
- 長寿科学振興財団「秋の養生」杉山卓也(薬剤師・漢方アドバイザー)
- 福岡管区気象台「はれるんマガジン」第17号「霜は晴れた日におりるのはどうして?」
- 国立天文台 暦Wiki「太陽の南中高度と日出没の方位」
- HugKum「もってのほか」(監修:松田慶子。公的な資料ではない)
- Harvard University, Science in the News「You Asked: Why don't sheep shrink in the rain?」(Katherine Wu, 2018)
- 週刊女性PRIME(カジタク 家事代行チーム・大島直子さんの話。公的な資料ではない)
- 消費者庁「新しい洗濯表示」
- アリストテレス『形而上学』第1巻 986a(Hugh Tredennick 訳, Harvard University Press, 1933。Perseus Digital Library)
- Wikipedia 英語版「Tetractys」(「The four rows add up to ten」の文には出典が付いていない。Britannica は開けなかった)
- コトバンク「十日夜」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典)



